
中世が舞台の映画のロケ地になりそうなシャンベリの街。
フランスの首都パリは中世の頃、木造建築が主流で火災が頻発したりロンドン大火の影響で耐火性の高い建物を主流とした都市計画が行われたので中世という雰囲気を味わう事は難しいです(ウィーンなども同じ理由)
しかしシャンベリはサヴォア公の尽力などもあり中世の建物が今でも残っています。

11世紀のdernières passerelles(最古の連絡通路)も残っています。
これはリヨンで有名なトラブールという建物と建物を繋ぐ通路と同じ性質を
持っています。
秘密の迷路的な敵が攻め入った場合の避難路といった役割や単純に近道・・・雨に濡れない住民の為の近道といった要素ももちろん強いです。

シャンベリーで見られる伝統的なサヴォア建築
下の建物はバルコニー上部が木造の美しい装飾になっていますが、
これは伝統的なシャンベリに於いてのサヴォア建築の特徴です。

この建物は比較的新しいですが中世的街の景観を邪魔しないデザインです。
サヴォア建築の特徴はバルコニー、アーチ状の窓枠や木造で装飾を施した窓を有しています。
(広義に於いてのサヴォア建築は急こう配の屋根を持つ木造建築をさします)


こちらの↓のレストランなどは典型的なシャンベリにおけるサヴォア建築といえるでしょう。

1890年に創立された銀行の本店ですが当時流行していたアールヌーヴォー、アールデコの特徴を持ち美しい外観です。

さ~て・・・
街を散歩していてお気に入りの紅茶販売店『ダマン・フレール』を見つけました✌
こんな小さな街にも専門店があるんだ💡
クスミティーの専門店もありました。
日本ではフランス紅茶というとマリアージュフレールが有名ですが、それより歴史が古く支持を得ているのがダマンフレール。
一番古い紅茶専門店というと英国のトワイニングと思われがちですが、
創業は1706年でコーヒーハウスとして創業、紅茶を扱うようになったのは1717年です。
ダマン・フレールは1692年にルイ14世より紅茶販売権を得ています。
ダマンフレールを最近まで知りませんでしたがコロナ禍前にスカンジナビア航空を利用した際にここの紅茶が提供されフアンになりました。
日本では大阪でしか取り扱ってないんですよね~(ネット以外は)
パリ本店と同じ品ぞろえで、なんなら新製品がパリより早く並ぶそうです。(お店の方談)
不思議なんですがフランス第2の都市リヨンに店舗はないんですよ~
量り売りの茶葉、気になる種類全て香りを確認しました。
ワケがわからなくなりました(≧▽≦)

確か・・・100gあたり4ユーロ位からだったと思います。
信じられない安さΣ( ̄□ ̄|||)
もちろんティーバッグやその他の製品もあります。

同じ店舗の半分は地ビールやワインを取り揃えていました。

左は今年、大阪で購入した「グールース」
右がシャンベリで購入した「Earl grey vert primeur 2025」

どちらもいわゆるアールグレイで左は紅茶ベースにベルガモット、右は緑茶ベースにベルガモット。
緑茶の説明の時ファーストフラッシュという表現をしていましたが新茶の事なんでしょうね、香りが濃厚です。
なんとミルクティーはフランス発祥だった!
紅茶というと英国のイメージ。
フランスはどちらかというとティールームよりカフェって感じ。
両国の歴史を調べるとほぼ同年代17世紀に両国に入ってきています。
コーヒー、チョコレートも同時期。植民地がありましたから。
違いは英国は当初より宮廷に貴族階級の嗜み・・・として広がりました。
1662年にチャールズ2世にポルトガルから嫁いだキャサリン・オブ・ブラガンザが当時ポルトガルの宮廷で流行していた紅茶を英国宮廷に持ち込んだので貴族階級にも広がったのですね。
フランスではルイ13世の治世に入りルイ14世がコーヒーと共に広げましたが
貴族の楽しみというより薬草としての効用を期待してだったそうです。
オランダ経由か中国の宣教師経由でのルートであり薬効の要素が強かったのでしょう。
当時ジュール・マザランというルイ13&14世につかえてイタリア人の枢機卿であり外交官の痛風が治ったという事で大人気になり17世紀のフランスの医学論文で大変もてはやされました。飲みだけではなく軟膏としても使用されました。
紅茶にミルクを入れる習慣は英国ではなくフランス始まりです。
陶器に熱いお湯を注ぐ際に割れる事を防ぐため先にミルクを入れたのです。
後の時代に嗜好品としての紅茶は英国より輸入したので非常に贅沢品でした。
しかし英国に質の良い紅茶が残りフランスへは品質の劣る茶葉が入っていましたので
そこに花やハーブ、スパイスを合わせたフレーバーティーが主流となったそうです。
フランス紅茶の一大転換期は1980年代でマリアージュ・フレールがフランスへのインバウンド効果を狙いフランス文化と融合させた大プロモーションを行い日本でも認知されるに至りました。
とはいえ、やはりコーヒー文化で紅茶の1人当たりの消費量はUKやドイツ、トルコの10分の1だそうですΣ( ̄□ ̄|||)
ただし近年は甘いソフトドリンク離れによりルイボスティー、そして日本ブームによる
緑茶人気で消費は伸びているそうです。
最後に余談・・・
英国にティーセレモニーを持ち込んだポルトガルのブラガンザですが、
なんと英国のチャールズ2世と同時期にフランスのルイ14世からもプロポーズされたそうですΣ( ̄□ ̄|||)
ローマカトリックの敬虔な信者であったブラガンザがローマと敵対していた英国国教会のチャールズ2世を選ばなければフランスは紅茶文化の国になっていたのかもしれませんね。