
今話題の映画「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」
を新宿のキノシネマで鑑賞。
ノーランの「オデュッセイア」と迷いに迷いましたが、
オデュッセイアはいつでも見る機会があるだろうと
今回は見送りました。
今年のヴェネツィア国際映画祭で金の小獅子賞
受賞作品。
映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』概要
【作品情報】
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監督・脚本・撮影・編集:塚本晋也(『野火』『斬、』『ほかげ』)
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主演:ロドニー・ヒックス(アレン・ネルソン役)
- マーク・マーフィー(青年期のアレン役)
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出演:ジェフリー・ラッシュ、リリー・フランキー ほか
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原案・原作:アレン・ネルソンの手記・平和講演の記録
ベトナム戦争に従軍した元米兵アレン・ネルソンの
手記が原作。
帰国後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)
に生涯苦しみ続けた、戦争加害者の心の傷を描いた。
社会の底辺から兵器として戦場へ
送り出された個人が、人間性を破壊され、
そこからいかにして自身の人間性を取り戻そう
としたかを描いたドラマです。
アメリカの貧しい黒人家庭で育ったネルソンが
海兵隊に入隊しベトナムの最前線に送られる前、
「アジア人を人間と思わないための教育」を
徹底的に叩き込まれました。
その訓練の際、教官たちはベトナム人や
アジア人のことを人間ではなく、「グーク(Gook)」や
「イエロー・ジャンク(黄色いクズ)」、「
スロープ(Slope)」といった差別的な蔑称で
呼ぶよう強制していました。
軍隊教育における目的は不要な人間を記号化し
排除することが正義と確信するため。
ベトナムへの最前線基地、沖縄のキャンプ・ハンセン
で殺人マシーンと化した彼らは沖縄の街に繰り出し、
アジア人である沖縄の人々にも暴力をふるい、
犯罪を犯しても、
それが罪に問われることはありませんでした。
そしてベトナムでの住民虐殺行為が
生々しさをもって描かれます。
そのような映画の背景があるためか、上映予定の
全国の映画館での上映がキャンセルされ、
キノシネマのみで上映されることとなり、
都内では新宿、立川のみ上映されています。
映画のタイトル『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』
は、ベトナムから戻ったネルソンがPTSDに苦しみ、
その中で同級生から小学校でベトナム戦争について
子供たちに話をしてほしいという依頼を受けた際、
子供の一人から受けた質問です。
実際には日本で講演した際に
日本人の小学生がした質問だそうです。
塚本晋也監督とリリーフランキー以外は英語ネイティブ
の俳優のみ(ベトナム側は除く)
監督と資本が日本の為、日本映画ではあるが、
ハリウッドと比べ小資本にも関わらず全ての点において
日本映画とはとうてい思えない迫真のシーンが続く。
カメラは?脚本は?アメリカ人?などと思ったが、
なんと全ては監督がこなしている。
かってにこの監督はミニシアター系と思っていたが、
戦闘シーンなどは低予算とは思えない迫力。
そう、音が重要だったのかもしれない。
見る我々も戦闘シーンでの耳をつんざくような
爆音で戦場を疑似体験する。
現場で毎日経験したネルソンへの追体験。
若いころを演じた超新人の
マーク・マーフィーがとても良かった。
そして「英国王のスピーチ」また「シャイン」で、
オーストラリア人として史上初のアカデミー
主演男優賞を受賞したジェフリー・ラッシュが
ネルソンの精神科医、セラピストの役だが、
さすがであると同時に、彼らをキャスティング
出来たことが驚き。
主人公役のロドニー・ヒックスもブロードウェイの
トップ俳優である。
リリー・フランキーはとても丁寧に
英語の発音を練習したのだろうな~という
ほど良かった。
ラストシーンは終戦後初めて訪れた
ベトナムでの講演のシーンだったが、
ネルソンさんがなぜそこまで語るのか?
が私には少しわかりにくかった。
なので「超・感動ですよ~」とまでは
いえない。
おそらく映画に観客が求めるものは
エンターテイメントである。
しかしもう一方質の高いメッセージ性の
ある映画もまた求めているものの一つだろう。
もちろん両方兼ね備えられていれば
最高だが。
この映画は間違いなく「戦争という名においても
人を殺す権利など誰にもない」という強い
メッセージが心に体に刻まれる映画である。
また誰にも個人に「人を殺させる事を大義とする
権利などない」ということも忘れてはならないことだろう。
これは今から約50年前にアメリカが
ベトナムで行ったことだ。
この映画を観て思い出した映画が
「雨の中の慾情」
つげ義春の原作を片山慎三が映画化した作品で、
ナンセンスなような浮遊感のような中で
約80年前の日中戦争が描かれていた。
鑑賞直後は「訳の分からない映画だな~
まあ成田凌を堪能できたからいいか」程度の
感想だったが、徐々に、そしてネルソンさんを見て
なおさら加害者になり切れなかったネルソンと
対極の主人公を通してベトナムでのアメリカの残虐性と
同じことを日本もしてきたのだと改めて思わざるを得なかった。
ネルソンとは対極と書いたが、雨の中の慾情の主人公は
ひたすら優しい、その優しさが悲しすぎる
夢を彼の中に作り出していた。
それがまた戦場に赴く兵士の心をより
象徴しており時がたてばたつほど映画の
良さが理解できて来た。
また以前にもブログで書いたが、
今年、父の兄が終戦の年
沖縄の首里城の大激戦で戦死したと知った。
銃をかかえた見たことのない20代の
叔父の心情が少しわかったような気がして
苦しくなった。
ヴェネツィア世界映画祭で金の小獅子賞を
受賞(日本の作品では初)したと紹介したが、
これはイタリア全土から選ばれた18歳の高校生
20人が審査員を務め今回で38回目を迎える
同国で広く親しまれている賞。
このような賞の受賞はこの映画には
最高の栄誉だと思った。
若い世代にこそ見てほしい映画だと思った。
さて、キノシネマ新宿は新宿三丁目にあり
一番大きなスクリーンで座席数が300に
満たないあまり大きくはない劇場だが、
シートの感覚がゆったりしており、
前から2番目で見たが首が痛くはならなかった。
またドリンク、ポップコーンなども
リーズナブル。
木下グループが映画を作っているのは
知っていたが、劇場まで持っていたとは。
また集客が見込めくても良質な外国映画
なども配給しているとしりΣ( ̄□ ̄|||)
バレエなどの文化事業にも貢献している
日本では数少ない企業なのね。
会長が大の映画好きなんだとか。
そしてこの作品も木下グループが出資。
ホンモノなんだなと感心した。
我が家からは遠い新宿。。。
乗り換えなければ行けないのだ。
その新宿に行ったついでに、その先の
中野で最近お気に入りのベトナム料理を食べた。


ここのチキンライス、NO1かもしれない・・・
